本学環境学部浅川研究室が足かけ8年にわたって調査研究に取り組んできた摩尼山(鳥取市覚寺・標高357m)の南半域が、6月17日(金)、文化庁文化審議会において国登録記念物(名勝地関係)に答申されることが決まりました。登録名称は「摩尼山」で、面積367,296㎡に及びます。巨巌・岩窟・加工段(平場)などによって構成される「奥の院」の景観や、山頂「立岩」等からみえる日本海・湖山池・ラッキョウ畑の眺望景観などが高く評価されたものです。さらに国登録文化財の本堂・山門・鐘桜、県指定文化財の仁王門、江戸時代後期以降の石仏156体などが登録範囲に含まれています。
県内の国登録記念物は「石谷氏庭園」(智頭町)、「小川氏庭園」(倉吉市)に続く3件目になります。国内登録記念物の総数は98件で、名勝地関係がその8割を占めますが、名勝地の大半は庭園・公園です。摩尼山のような大風景地は例外的であり、官報告示がなされれば、滋賀県の近江八景「三井晩鐘」(面積235,735㎡)を凌ぎ、国内最大の登録記念物となります。
登録申請範囲のなかでとくに注目されるのは摩尼寺「奥の院」遺跡です。2010年の発掘調査によると、平安時代中期にあたる10世紀後半ころ、高さ約20mの巨巌を人為的に彫り込んで岩窟とし、その正面を整地して小振りの仏堂を建立したようです。摩尼寺には円仁(比叡山第三代座主、794-864)開山の伝承もありますが、発掘調査の成果は円仁より1世紀ばかり遅い開山を示唆しています。下層遺構の上面からは室町後期~江戸初期の上層遺構も発見されました。『因幡民談記』(1688)にみえる2棟の楼閣式仏堂の痕跡であり、復元CGも作成されています。
摩尼山は、県西部の大山寺(国史跡答申)、中部の三徳山(国史跡・名勝)と並ぶ県内三大霊場の一つであり、浅川教授は「山陰地方の霊山の文化財価値が再評価され始めている。連携して訴求すべき」とコメントしています。この秋にはこれらの古刹を含む中国三十三観音霊場合同の大法要が摩尼寺で催されることが決まっています。浅川研究室も参加することになっていますが、その行事内容については、また別の機会に報告します。
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