平成30年5月20日(日)、本学学生と一般の方々の参加のもと、地域教育を目的とした公開座談会「山陰海遍路2018」を、同年4月16日に鳥取県岩美町に開所した岩美むらなかキャンパスで開催しました。学生38人のほか関係者を含む地域の方々にご来場いただきました。この座談会は、むらなかキャンパスオープン記念イベントとして実施され、学生にこの地域の特色や魅力を知ってもらい、海とともに生きる人々の考え方に触れる機会を提供するものです。
「山陰海遍路2018」
プログラム・講演者
趣旨説明
京都大学名誉教授 田中 克
講演
海洋冒険家 八幡 暁 「可能性とリスク」
座談会
「山陰の海で生きる!!」
パネリスト
海洋冒険家 八幡 暁
「海遍路」代表 藤井 巌
京都大学名誉教授 田中 克
ネイチャーフォトグラファー 柏倉陽介
信勝丸(沖合底引き網漁船) 船主 山岡寛人
鳥取県漁協福部支所(海女漁業者) 今嶋裕子、真田美幸
岩美町地域おこし協力隊 則定 希
鳥取県漁業協同組合 古田晋平 (進行)
海洋冒険家の八幡暁氏は、オーストラリアから日本まで無伴走単独シーカヤックで、島嶼域に生きる人々の生き様を観る旅「Great Seaman Project」を2002年よりスタートし、2011年より日本沿岸各地をシーカヤックでめぐり、海から水際の環境を見つめ、海とともに生きる人々の生き様に学び直し、今を生きる世代が未来世代のために何ができるかを問う「海遍路」を実施しています。講演会では、「可能性とリスク」と題して八幡氏の活動の原点の話から、訪れた各地での人々の暮らしについてスライドを交えながら具体的に話を伺いました。最後に学生に向けて、リスクを考えながらも自分の可能性をひろげていってほしいと伝えました。
座談会では、鳥取の印象について、講師らは岩美で食した地元の名産品の美味しさや地域の人の温かさ、友好的な人柄などに触れ、暮らしている人が楽しんで生活していると実感したが、その足元に広がる自然の恵みが日常すぎることで、その素晴らしさ、尊さを見逃しているようだと話されました。鳥取の水産業に携わる方々からの意見では、漁師は漁業の未来に関して今ある資源だけにいつまでも頼り続けることに不安を感じているし、海女漁の仕事も収入が不安定であることなど実情を話されました。そのような中でも、コストや手間がかかる海藻の加工品で収益を上げる工夫をし、県外への情報発信や新しい漁に挑戦することで可能性を広げる取り組みを行い、水産業の活性化につながっていると報告しました。この公開座談会を終えた学生たちは、それぞれの立場での貴重な意見を聞く機会となりました。会を終えての感想では「可能性とリスクの話で、リスク管理がしっかりとできれば自分の行動範囲が広がると感じた」「普段お会いすることができない方々の意見が聞けて、有意義な時間を過ごせました」「今までぼんやりとしていた将来を考えるきっかけとなりました」などがありました。