令和元年11月28日(木)、持続可能な循環型社会の形成をテーマに研究を推進しているサステイナビリティ研究所が主催する特別シンポジウムを開催しました。
国際社会の喫緊の課題である温室効果ガス排出削減のために、再生可能エネルギーの果たす役割は大きく、とりわけバイオマスも有力な手段と考えられています。今回は「バイオマスのさらなる利用に向けて」をテーマに、278名の参加者を迎え、講演や話題提供、パネルディスカッションを展開しました。
シンポジウム前半は、まず「地球温暖化とその対応策」と題し、公益財団法人地球環境産業技術研究機構の茅 陽一理事長が講演をいただき、地球温暖化対策の原因は人為的な温室効果ガス排出によるものである可能性がきわめて高く、これを抑制する政策目標の達成には相当の努力と覚悟を持って取り組む必要があると解説されました。そして国立研究開発法人産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所の坂西 欣也所長代理からは、「再生可能エネルギーとしてのバイオマスの役割と展望」と題し、再生可能エネルギーの安定供給への取組や課題、バイオマス利用技術について説明をいただきました。
後半のパネルディスカッションへの話題提供では、バイオマスの利活用についての事例紹介を展開。三洋製紙株式会社の花原 久氏からは、間伐材などの木質チップの焼却熱を利用した木質バイオマス発電について、本学環境学部の田島 正喜教授は、下水汚泥バイオマスから得られる水素を利用したCO2排出の少ない水素ステーションの構築について、三光ホールディングス株式会社の三輪 陽通代表取締役CEOは、廃熱を利用した発電や養殖事業について解説をいただきました。また、広島大学大学院統合生命科学研究科の中島田 豊教授は、大型藻類などの水産バイオマスを利用したバイオプロセス実用化に向けた研究について紹介されました。
参加者からは、温暖化対策の課題や様々なバイオマスを利用した取組について知ることができた等の感想が寄せられ、CO2削減へ向けた再生可能エネルギーへの取組を知る有意義なシンポジウムとなりました。