株式会社廃棄物工学研究所と本学の協力により実施している「低炭素シンポジウム」の秋季企画を大阪会場(11月19日(火)、於:大阪府社会福祉会館)、東京会場(11月29日(金)、於:江戸東京博物館)にて開催しました。自治体の廃棄物行政関係者やごみ焼却プラント建設業者など大阪会場では61名、東京会場では155名の参加者を迎え、いずれの会場ほぼ満席となりました。
今回のサブテーマは「令和・新時代の廃棄物処理」として、日本における深刻な廃棄物問題を解決に向けて対策をしてきた平成時代を回顧し、令和時代に向けた新しい廃棄物処理の展望を講師の方々から解説をしていただきました。
第一部では、本学の田中勝客員教授から、過去の廃棄物処理の危機としてダイオキシン問題、不法投棄問題、PCB廃棄物問題が挙げられ、その問題の解決へ向けて対策を講じてきたこと、続いて今後の令和新時代に向けて廃棄物処理サービスの安定的な供給に向けた処理コストの削減や処理施設の高付加価値化の必要性が説かれました。続いて、環境省環境再生・資源循環局適正処理推進課による基調講演では、第五次環境基本計画と第四次循環型社会形成推進基本計画について概要の説明とその計画に基づく今後の一般廃棄物処理事業について説明がなされました。また次に、仙台市の地方行政解説ではごみ処理施設の延命措置への取組や東日本大震災で出た大量の災害廃棄物の対策方法について、実務的観点から解説を頂きました。
第二部では、(公財)産業廃棄物処理事業振興財団の山脇氏から、地域の産業廃棄物処理の広域化によって地域の廃棄物の一体処理、地産地消のエネルギーの確保といった地域の循環共生型エネルギーセンターとしての廃棄物処理施設という役割を果たすべく財団が取り組んでいる「地域循環共生型廃棄物資源化構想」について解説及び報告がなされました。また、技術解説として日本環境衛生施設工業会からは様々な廃棄物処理施設が高付加価値化事業を進めており、廃棄物の熱利用や助燃材や肥料への活用、地域の防災拠点、発電施設として役割を果たしている国内の先進的な廃棄物処理施設についての事例紹介を頂きました。
その後のパネルディスカッションでは、参加者の質問に答える形で講演者と田中客員教授が活発な議論を交わしました。廃棄物処理施設の高付加価値化を図るには処理の広域化の検討の必要性やプラント建設費用のコスト減を図るため現在の廃棄物処理の枠組みを超えた合理的な方法が今後の課題になるのではないか、といった意見が交わされました。
■プログラム・講演内容・講演者
<開会挨拶>令和・新時代の廃棄物処理
公立鳥取環境大学 客員教授 田中 勝
<基調講演> 一般廃棄物行政の今後
環境省 環境再生・資源循環局 適正処理推進課
課長 名倉 良雄 氏(東京)
課長補佐 大沼 康宏 氏(大阪)
<地方行政解説> 仙台市のごみの処理施設の延命化、災害廃棄物の活用、廃棄物の資源化の取組
仙台市 環境局長 遠藤 守也 氏(東京)
環境局 施設部 施設課長 小和田 圭作 氏(大阪)
<特別講演> 地域の産業廃棄物等を広域的に処理する廃棄物資源化構想
(公財)産業廃棄物処理事業振興財団 資源循環推進部 部長 山脇 敦 氏
<技術解説> 我が国の廃棄物処理施設からの熱利用などの高付加価値化の事例
(一社)日本環境衛生施設工業会 技術委員会
委員長 増田 孝弘 氏(東京)
副委員長 田中 朝都 氏(大阪)
<パネルディスカッション> 低炭素社会の実現に向けて~令和・新時代の廃棄物処理~
コーディネーター:田中 勝 パネリスト:上記講演者