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TUESレポート

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鳥取商工会議所工業部会との令和4年度SDGs連携事業報告会の開催

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本学は、鳥取商工会議所工業部会とのSDGs連携事業(※1)に取り組んでいます。この度、令和4年度の事業総括として進捗状況及び成果等を広く共有するために令和5年2月17日(金)に報告会を開催しました。報告会は、新型コロナウィルス感染症に関する状況を考慮して、会場参加者を限定し、YouTubeのライブ配信で行いました。

(※1)
SDGs連携事業では、SDGsの取り組み推進を目的に工業部会と本学の教員及び学生が連携し、企業の環境分野等における課題を解決します。本年度は3社の課題解決に取り組みました。そして、課題解決を通じて、本学ではSDGsの目標達成並びに学生の成長を目指します。なお、この連携事業は、本学におけるSDGs推進組織であるサステイナビリティ研究所が主導して進めています。

報告会では、まず、鳥取商工会議所 児嶋祥悟 会頭、本学の江﨑信芳 学長から挨拶がありました。江﨑 学長は挨拶のなかで、学生が実際に課題解決に取り組んでいる企業の方々に感謝を述べました。続いて、連携事業の趣旨説明が、木下貴啓 工業部会長からありました。その後、学生から、本年度各社の課題解決に取り組んだ内容等の報告がありました。

1社目のマルサンアイ鳥取(株)は、豆乳製造に伴う、おからの排出(年間約8,220トン(毎年増加している))及びその処理(腐りやすい、処理に伴う輸送費がかかる等)が課題でした。その課題に対して、環境学部4年の道前凜さん(環境学部 門木秀幸 准教授のゼミ生)から「おからの乳酸発酵による再資源化に関する研究」として報告がありました。その報告では、課題解決の方法として「おからの保存性の改善又は脱水性の向上による乾燥効率の改善」と「付加価値の高い工業原料へのリサイクル技術の開発」の2種類をあげました。そして、それぞれ「pH調整又は乳酸発酵による脱水性・保存性の改善」と「L-乳酸発酵によるL-乳酸(生分解性プラスチック原料)の生産」を研究テーマとして定め、そのテーマに基づき行った実験の流れ・内容・結果等について説明しました。その後、別テーマ(プラスの課題解決方法)として「微粉砕おからからの豆腐の試作」についても報告しました。微粉砕おからと無調整豆乳を用いた場合に豆腐の原料への利用可能性があることを説明しました。続いて、今後の研究計画として、環境学部3年の原田すずさん(門木 ゼミ生)から「L-乳酸の変換効率の向上に関する研究」の報告がありました。その内容は、来年度に、酸加水分解法又は酵素糖化法による糖化法の最適処理条件、変換効率の向上を研究するというものでした。2人の報告に対して、兼子明 取締役会長から「扱いの難しいおからの研究を地道に行ってもらっている」「おからの処分費の6割は輸送コスト、おからの多くが水分であり、乾燥効率をあげることにより輸送コストや二酸化炭素の排出を低減できる」「紙ストローを生分解性プラスチックで加工することも一つの方法」等のコメントがありました。続いて、門木 准教授から「難しい課題であるが道前さんが解決の夢を実現に向けて進め、原田さんがそれを受け継ぎ更に発展させていく」と2人の努力を称賛しました。

2社目の菌興椎茸協同組合は、原木しいたけ栽培用の椎茸種菌を複数まとめてシート状にしたもの(種菌シート)を製造・販売していますが、種菌のフタに発泡スチロールを使っており、栽培後に、その発泡スチロールが、ゴミとして残ってしまうことが課題でした。その課題に対して、環境学部4年の銅山裕之さん(環境学部 金相烈 教授のゼミ生)から「しいたけ形成菌フタ材に用いる生分解性プラスチックの自然環境における変性原因に関する研究」として報告がありました。その報告では、課題解決の方法として「天然物質であるキトサンを発泡スチロールの代わりのフタ素材とする」ことをあげました。そして、そのフタ素材を使った「しいたけ原木栽培実験」と「微生物による変性の影響を明らかにする実験」「含水率影響評価実験(復元力評価、乾燥実験)」等を説明し、残った課題を話しました。続いて、同課題に対して、環境学部4年生の内田怜那さん(金 ゼミ生)から「しいたけ形成菌のフタ材における生分解性プラスチックの耐水性の向上に関する研究」として報告がありました。その報告では、課題解決のため、実際の自然環境下でも形成菌のフタとして機能させるために、フタの耐水性を向上させる技術を開発することの説明がありました。研究内容・実験方法・測定方法・評価方法・実験中の観察経過等を細かく解説し、その後、まとめと今後の展望を語りました。2人の報告に対して、船戸知聖 種菌育成場主任研究員から「環境大学ならではの発想や着眼点で興味深い研究ができている」「相手が、しいたけという生き物、屋外での栽培という難しい環境のなかではあるが、昨年から進歩している」等のコメントがありました。また、森下哲也 前工業部会長((株)ゼンヤクノー顧問)から「学生さんの取り組みを通じて、色々見えて来ていると思われるが、実際の現場での課題は何か?」という質問が組合に対してありました。それに、船戸 研究員から「学生さんは手作業で実験を行っているが、実際は機械で種菌シートを作成している。その機械のラインにのせることができるかが課題」と回答がありました。続いて、金 教授から「フタ材を生分解性プラスチックにするが3年間は分解等されないようにする必要があり難しい。しかし、学生と一緒に研究に楽しんで取り組みたい」とコメントがありました。

次いで、組合の同課題に対して、環境学部4年の下戸宥人さん(門木 ゼミ生)から「発泡PLAを用いた椎茸形成菌の実用化」として報告がありました。その報告では、課題解決の方法として「発泡PLA(ポリ乳酸)を用いた原木栽培」「発泡PLAを用いた保護蓋シートの試作と打ち抜き試験」「オガ種菌との接着試験」「環境中での分解試験」をあげました。そして、それぞれの方法・結果をひとつずつ説明し、まとめと今後の課題「最適な水熱処理条件の検討」「打ち抜き加工性の向上」「環境中での分解性向上」を話しました。続いて、今後の研究計画として、環境学部3年の吉田拓樹さん(門木 ゼミ生)から「発泡PLAの加工性の改善及び環境分解性の改善」として報告がありました。その報告は、来年度に、課題解決のため「発泡PLAの加工性の改善」「環境分解性の改善」を行うというものでした。2人の報告に対して、酒田英夫 常務理事兼種菌育成場長から「水熱処理による硬化は面白い」「3年ではなく、5~10年で分解することでも良いのではないか」等のコメントがありました。続いて、門木 准教授から「研究者は通常生産できるところまでは見ないが、今回は、そこを重点的に意識して学生さんが取り組んでいる」と2人を評価しました。

3社目の(株)LIMNOでは、「SDGsの観点からの新商品づくり(食による健康、食材廃棄ロス削減、ジェンダーレス社会の 実現)」をテーマにした地域貢献活動(課題解決)に学生が取り組みました。この活動のため本学では、取り組む学生の募集を行い、その募集に手をあげた学生(学生有志)が最終的に商品企画提案までを行いました。これらのことについて、学生有志の経営学部2年の大西あむるさん、後藤紅葉さん、1年の中川理さん、松本陸さん、環境学部1年の志摩那波さんから商品企画提案の報告がありました。学生有志は「コンセプト」「提案理由」「導入による効果と社会貢献」「仕組みの説明」「サブスク等のメリット」「製品比較(市販製品の処理方式別、乾燥式製品別)」「市場規模」「検討課題」等について話しました。この報告に対して、三崎英子 資材調達・海外企画部長から「お客様に負担の無い製品をということで、学生さんからサブスクや生ごみを廃棄せずに肥料・堆肥化するアイデアをもらった」等のコメントがありました。

最後に、来(令和5)年度に、新たに本連携事業で取り組む企業である(株)アサヒメッキの川見和嘉 技術部長から「新たに導入した再生水循環システムが上手く稼働できていない課題」の説明があり、報告会を終えました。

本学は、引き続き、来年度も本連携事業の取り組みを推進し、SDGsの実現に貢献していきます。

報告する学生①報告する学生①
報告する学生②報告する学生②
報告する学生③報告する学生③
報告する学生④報告する学生④