令和5年10月6日(金)に本学200講義室にて、宇沢国際学館代表取締役で内科医の占部 まり氏による「SDGs基礎」特別講義を開催しました。「SDGsと社会的共通資本を考える」というテーマで、本学の学生130名が聴講しました。
占部氏は、ノーベル経済学賞に最も近いと称された経済学者で、鳥取県米子市出身の故・宇沢 弘文氏の長女であり、宇沢氏が提唱した社会的共通資本と地域医療の課題に関する研究・講演活動をされています。
講義では、まず宇沢氏の経歴や、宇沢氏の思想の根幹である「社会的共通資本」が芽生えた経緯について触れられた上で、社会的共通資本には自然環境(大気、森林、河川など)、社会的インフラストラクチャ―(道路、交通、水道、電気など)、制度資本(教育、医療、司法など)の3種類があり、これらを守ることが持続可能な豊かさにつながることや、「ポジティブヘルス」、「ウェルビーイング」、「拡張生態系」など、近年研究・議論されている様々な思想・概念について、わかりやすくご説明いただきました。
また、SDGsは、そもそも宇沢氏が法王ヨハネ・パウロ二世に進言されたことがきっかけになった、との興味深いエピソードも伺いました。
生成AIやIoTなどのテクノロジーの発達や、地球温暖化の深刻化等、私たちの周りの環境は刻々変化していますが、このような中にあって宇沢氏の思想である「社会的共通資本」の重要性は、占部氏がおっしゃった「手を動かすことの尊さ」、「理論よりも実践」との言葉とともに、この日聴講した多くの学生に感銘を与えたことと思います。