令和5年11月11日(土)、本学を会場に第4回山陰海岸ジオパークサイエンスカフェ「出雲国風土記にみる自然観 -島根半島を知ってジオパークを学ぼう-!」を開催しました。
講師は、島根半島・宍道湖中海ジオパーク 専門員の野村 律夫 氏が務め、古事記や出雲国風土記にみられる神話や伝説には、古代の人たちが語り継いだ風景や地名などが記されており、それを科学の視点で見ると、どのように捉えることができるのかを紹介するということで講話を始めました。まず、今回の
テーマである古代の人の自然観を知るため、『出雲国風土記』の冒頭“国引き神話”を紹介し、島根半島が「志羅紀(新羅)」や「淤岐(隠岐)」などの島々の一部を網で引いてきて4つの島を繋ぎ、山塊の切れ目(繋ぎ目)を「折絶(おりたえ)」と呼んだと記してあること、更にこのことについて科学的視点で見ると、島根半島は地層の褶曲や断層を持つ複雑な構造をした独特な地形で成っていて、東西に延びるこの半島には、地形変動と浸食によってできた“地形の窪み”が所々認められ、それを「折絶」と捉えることができると解説がありました。古代の壮大な神話の情報からさらに地形を深く調べることで見えてくる解説に参加者は感銘を受けていました。
その後、講師は古代の景色を参加者がより体験できるよう、簡易の製鉄実験を行いました。実験は、製鉄炉を使用しない「テルミット法」というアルミニウムを還元剤として使い短時間で鉄を得るもので、講師の演示を参加者たちは食い入るように見つめ、砂鉄が溶けていく様子を観察しました。出来上がった鉄が、磁石に引っつくかを試した後、希望する参加者へ配られました。最後に、「自然豊かな出雲の国にまつわる古代の人々の感動が、神話・伝説を生み語り継がれてきた事実がある。みなさんも自然に触れて、感動する心を呼び起こしてほしい。」と結びました。