令和5年11月10日(金)に本学11講義室にて、国際的な水素エネルギー研究の第一人者である九州大学副学長 佐々木 一成氏、一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会会長 村木 茂氏を講師にお迎えして、令和5年度SDGs特別シンポジウム「新時代を築く水素エネルギーの利活用に向けて~鳥取での水素エネルギーへの期待~」を、2部構成で開催しました。
当日は、県内外の自治体や企業等から多数のご参加もあり、本学学生を含めて203名の聴講者を迎えました。
第1部の基調講演では、佐々木副学長からは、「水素燃料電池開発の現状と未来」と題して、脱炭素社会の実現に向けた水素利活用の重要性や、水素エネルギー活用に係る九州地区及び九州大学での具体的な取組状況など、村木会長からは「CN(カーボンニュートラル)に向けた水素・アンモニアの役割と最新動向」と題して、カーボンニュートラルの実現に向けた水素・アンモニア利活用の位置づけや研究開発中の様々な利用技術、取組状況など、わかりやすくご説明いただきました。
第2部のパネルディスカッションでは、サステイナビリティ研究所の田島所長をモデレーターとして、「地方で水素はどの様にして導入されるか」、「地球温暖化解決のため、社会構造・システムをどのように変革していくか」をテーマに、来場者を交えながら熱心な議論が交わされました。
参加者からは、「水素の現状の研究や活用方法について、とても勉強になった。水素活用のため、水素と再生可能エネルギーの繋がりや、今後の活用についてもっと考えていくべきと感じた」(40代公務員)、「初めて伺う知見がほとんどで、大変刺激的な講演だった」(60代団体職員)、「CO2排出量を減らすには水素が鍵であることがわかった」(10代大学生)、などの感想が寄せられ、水素エネルギー活用の意義や重要性について、参加者の理解が深まったシンポジウムとなりました。
また、「村木氏のお話にあったアンモニアを利用した船について、商用化されるための今後の見通しを詳しく知りたい。」とのご質問を閉会後にいただきました。村木会長にお尋ねしたところ、以下のご回答をいただきましたので、ご紹介します。
【村木会長からいただいたお答え】
アンモニアを燃料とするための船舶用ディーゼルエンジンの開発は、小型エンジンを2024年、大型エンジンを2026年の完成を目指して進められています。
現在、アンモニア小型エンジンを搭載したタグボートを2024年に就航させる計画が進んでおります。
大型エンジンを主機に小型エンジンを補機とする大型アンモニア輸送船の建造の計画が検討されており、その実現は2027年から2028年頃になるものと思われます。
アンモニア燃料船が活用されるようになるためには、アンモニア燃料を供給するバンカーリング拠点の形成が必要になりますので、本格的にアンモニア燃料船が導入されていくのは2030年代半ば以降になると思われます。
それまでは、アンモニア輸送船や寄港地が決まっている自動車運搬船や一部のコンテナ船、バルクキャリアに限定され、そこから徐々に利用が拡大していくものと見ています。